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篠原 伊月ショートシナリオ
------------ 『桜の木の下で』 -----------
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春よ! 花見よッ! Cherry Blossom Viewingよッ!! とゆーワケだからみんな、すぐに準備しなさーーいっ!! |
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……って、今日の朝に突然署長に言われたワケなんだが。 |
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ああそっか、赤島は配属されたばっかりだから知らないんだね。青空署はこの時期、毎年花見をやってるんだよ。 |
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へー、そうなんだ。 |
---------------------花見に使う道具を一緒に運びながら
伊月と並んで艦内の廊下を歩く。 |
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しかし、平日の昼間っから花見なんてやっていいのかな…。仮にも警際署なんだし……。 |
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まー、ハッキリ言っちゃえばダメだけどさ。でもそんな理屈が通じるような人じゃないからねー、ウチのボスは。「署長が通れば道理が引っ込む」ってカンジだし。 |
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はは、言えてる。でもこんな事、この前ウチに配属した黛警偉が黙ってないと思うけどなあ。 |
--------------------- とか言ってたら、前からその黛警偉がズンズンと歩いてきた。
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赤島巡士、篠原巡士部長ッ! 聞いたわよ、職務中に花見だなんてこの署はいったい何を考えているの!? |
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い、いえその、俺に言われても……。 |
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花見をやるって言い出したのは署長ですよ、黛警偉。ちなみに毎年やってますけど。 |
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毎年!? くっ、あの署長ときたら…! 今日という今日は許さないわ! |
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あ、ブリッジに行くんですか? 行ってもムダだと思いますけど〜。 |
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何がムダなのよ、きちんと言い聞かせればあの署長だってきっと……。 |
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あー先に言っとくけど、署長命令よ。
れおにゃん。 |
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……………。 |
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ほーら、ね。 |
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なんで分かるんだあの人……。 |
〜東諒都うおまぶ市・卯の頭公園〜
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いや〜、やっぱり花見といえばこの卯の頭公園だよな! 今年もソメイヨシノが綺麗だぜー! |
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わはは、飲め飲めー! 今日は無礼講じゃー! |
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わははは………あれ? なんか急に空が暗くなったような……。 |
ズガゴーーーーンッ!!
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ゲゲェーー何だ!? 地震!? 会社サボって花見してたから天罰かぁ!? |
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い、いや違う! 今のはなにか巨大なモンが着陸したんだ! あっ、アレは!? |
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あっ、青空署だぁぁーーーっ!! |
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ほらほらどいたどいたー! この辺り一帯は我が青空署が占拠したわ! 平日の昼間っから花見なんかしてんじゃないわよアンタ達ー! |
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自分のことは棚の一番上に上げてますね、ヒカリ。とりあえず花見客はクモの子を散らすように逃げていきました。 |
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ああ、きっとまた苦情の電話が殺到するんでしょうねえ…。そしてそれに対応するのがわたしなんでしょうねえ……ぐっすし。 |
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おーし、それじゃテメエら、一番よく桜が見える場所を確保してこい。モタモタしてる奴ぁメシ抜きだからな! |
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おおっす!! |
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はーい、それじゃわたし達厨房班は料理を運び出しますよー。お重を傾けないように注意してくださいねー。 |
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それじゃ私は酒でも運ぼうかね。真っ昼間から桜を肴に酒飲めるなんて、こんな良い職場は他には無いねー。 |
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……うーん、さすがに毎年やってるだけあってみんな見事に統制がとれてるな。仕事のとき以上に。 |
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ウチは基本的に、力を入れる場所を間違ってる部署だからねー。さあ赤島、あたし達も手伝おう! |
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オッケー、それじゃやるか。
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………………………………………。
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んー、美味しーい! やっぱりゆずぽんの作る料理はサイコーよねー、この特製桜餅も文句なしだし! ああ、あとついでに桜もキレー。もぐもぐ。 |
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桜の感想がチョーテキトーですね、ヒカリ。花より団子ここに極まれり。 |
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お料理はたくさん作りましたから、皆さんどんどん食べてくださいねー。葉澄さんもどうぞー。 |
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ありがと、柚子。ほれ東警武、もう一杯。 |
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おいおい、駿河のねーちゃんと同じペースで飲めるワケねえだろ。千鳥足になっちまわあ。 |
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くっ、署員全員で真っ昼間から酒盛りだなんて……! 青空署には秩序という言葉が無いの? |
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あれ、黛警偉その桜餅食べないんですか? じゃあわたしが代わりにいただきます〜♪ |
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食べるわよ!! |
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ひゃあああ!? |
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うーん、みんな盛り上がってるなあ。……あれ、そういえば伊月はどこ行った? |
---------------------辺りを見回してみると
伊月は少し離れた所にある桜の木の下に居た。
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伊月、どうしたんだ? みんなと一緒に飲まないのか? |
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ああ、ごめんごめん。ちょっとこの桜を見てたんだ。 |
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ん、この木のか? ……おお。 |
---------------------伊月に言われて見上げてみると
そのソメイヨシノは他のものに比べて最も鮮やかな色で咲き誇っていた。 |
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ホントだ。この界隈じゃあどれよりも見事な色をしてるな。 |
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だよね? 思わず見入っちゃってたよ。……はは、似合わないと思いつつさ。 |
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似合わない? |
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んー、だってほら、花を見てうっとりするなんてあたしのキャラじゃないじゃん。こーいうのはみつなとか柚子の役だね。 |
---------------------伊月はそう言って笑いながら
手にしていた缶ジュースを飲んだ。 |
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……別に、伊月だから似合わないってことは無いと思うけどなあ。 |
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はは、別にフォローなんてしなくてもいいって。あたしは自分が女の子らしくないって自覚してるからさ。 |
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女の子らしくない、ねえ……。 |
---------------------俺は渋い顔をして、桜の木の下の芝生に座った。 |
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……なあんだよ赤島ぁ。そのナットクいかなそうな顔はさぁ? |
---------------------そう言いながら、伊月も俺の隣に座った。 |
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伊月の言う女の子らしい子って、どんな子よ? |
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はあ? そりゃアレだよ、えーと、可愛い服着て、可愛い仕草とかして、可愛く笑って……。 |
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お前それただ「可愛い」ってつけてるだけじゃないかよ…。 |
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ち、ちょっと待てよ、いま具体的に言うから! んーと、ええと……。 |
---------------------伊月はうんうんと唸って、真剣に考え始めた。
俺は持ってきたジュースを飲みつつ待つ。 |
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……よし、まとまった! 部屋にはヌイグルミとかいっぱいあって、料理とかお菓子作りが得意で、スカート穿いてダンス踊ったり、トドメにチョココロネを端からかじってチョコがデロンと出ちゃう女の子だ! どうだ!! |
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何だどうだって。チョココロネは関係あるのか。というかその女の子、ずいぶんステレオタイプな「女の子らしい子」だなあ。 |
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うっさいな、ステレオだろうが女の子らしいならいいじゃないか。まあ、あたしはステレオ直すとかなら得意だけど……。 |
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伊月はいま言った子とはかけ離れてるから女の子らしくないのか? |
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そーだよ。あたしなんて部屋は汚いし、料理はキャベツ切るくらいしかマトモに出来そうにないし、スカートなんてもう何年も見てないからな…。 |
---------------------自分で言っといて伊月はトホホ、とため息をついた。 |
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それじゃ伊月、俺が学ラン着てゲタ履いて、毎日ケンカばっかしてて、片眉剃って山篭ったりすれば男らしいと思うか? |
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わはは、何だそりゃ! そんなマンガみたいなヤツいたら、男らしいとかいうより笑っちゃうよ! ………あ、あれ? |
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そーいう事だよ、伊月が言ったことは。 |
---------------------俺の隣で頭をひねる伊月から
騒いでいる青空署のみんなの方に視線を移す。 |
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何が「女の子らしい」って言うかは分かんないけどさ。例えば、周りのみんなが「花より団子」だった時に……。 |
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ふと桜の花を見て思いを寄せてる子なんかがいたら、おっ、イイな、って思うよ。俺は。 |
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おま……っ。 |
---------------------伊月は慌てて顔をそらした。 |
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お前……馬鹿。あたしの顔まで桜色にしてどーすんだよ……。 |
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ははは、上手いこと言ってるよ。 |
---------------------俺は笑いながら、ジュースを飲む。 |
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……あっ。やべ、こぼしちゃった。 |
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なーにやってんだよ、赤島。まったく子供みたいな奴だなぁ……ほら、拭いてやるからこっち向きな。 |
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ご、ごめん。……あ、伊月って、ハンカチとか持ち歩いてるんだな。 |
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そんなの当たり前だろ。あーあ、制服にこぼしちゃって……。 |
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(……はは、「当たり前」か。……おおっ!?) |
---------------------伊月が腕を寄せてハンカチで拭いてくれているので
その深い胸の谷間がより強調される。 |
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(ををを、すごい…。伊月のココはどう考えても女の子だよな……) |
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……赤島。ええと、さっきの言葉……照れくさかったけど、嬉しかったよ。……ありがとな。 |
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はは、礼を言われるようなことは言ってないけどな。 |
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でも嬉しかったんだよ。……だから、その食い入るような視線は許してやろう。特別にな。 |
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あ、あれ、気付いてたのね……。 |
---------------------俺と伊月は二人で一緒に笑った。 |
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し、署長ーっ! 大変です、怪盗ロールが美術館に現れましたーっ! |
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何ですってぇ!? せっかくのこの花見の日に現れるだなんて、ホントーに腹立たしいわねあのコレステロールは! |
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いえ、ロールもまさか平日の昼間っから花見してるとは思わなかったと思いますが。 |
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ロールは
「わたくしの出番これだけですの!?」
とか意味不明のことを叫びながら宝石を盗み出したそうです! |
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アップルジャーーーーーック!! |
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! 伊月、事件みたいだぞ! |
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ああ、そうらしいね! あたしは先にパトベセルに戻ってジェクトの発進準備を進めておく!
赤島もすぐ来いよな! |
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わかった! |
---------------------伊月がすぐに走り出して、俺も立ち上がる。 |
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……………………。 |
---------------------俺はそのまま、真上にある桜の花を眺めた。 |
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……確かにこの桜は綺麗だけど……。 |
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ウチの整備部の紅一点だって、負けてないよな? |
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ジューーンッ! 何やってんの、出動するわよーーっ! |
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了解っ、いま行きますよーっ! |
---------------------俺はもう一度だけその見事な桜花を眺めてから
芝生を蹴って駆け出していった。
<了> |
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